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パヴェーゼ 渡辺由利子・関口英子 訳『美しい夏』(光文社古典新訳文庫)
いくつか思い入れの深い文庫本というのはあるけれど、この『美しい夏』の旧訳(岩波文庫版)はそんな一冊だった。 あまりにも有名な冒頭の箇所をお客さんに読んでもらいたい気持ちで、これまでもなんどか紹介し、お店でも売った。ただ、正直にいうと、お話の筋自体はぼんやりとしか理解しておらず、16歳の主人公ジーニアが、恋愛のなかで傷つき、振り回されていく物語という印象が強かった。 冒頭のアクセル全開の美しさと比べて、なんとなく消化不良の物語だったわけだ。だからおすすめするポイントは、パヴェーゼの書く美しい情景であったり、その悲劇的な死の直前に、この作品がストレーガ賞というイタリア最大の文学賞を受賞していることだったり、どちらかというとすっきりしないものだった。 その新訳が出るとあって、期待しながらも「やはりあまり理解できなかったらどうしよう。」という不安もあった。 が、そんなものは杞憂であった。 読み始めると自分は16歳の少女ジーニアになり、20歳の大人になりたてのアメーリアになった。 背伸びしているような好奇心と、すこしのことで揺れ動く心をコントロールできない
青いカバ BOOKS
9月6日読了時間: 2分
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